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【小説】塩野七生「ローマ亡き後の地中海世界(上)」:中世

ローマ亡き後の地中海世界(上)

紹介

 愛しのローマ亡き後の世界を描く。
 前巻まででキリスト教ビザンチンへのヘイトが溜まっているので、イスラム勢力に蹂躙される様子もどこか他人事で、フラットに見られるのは良い。
 中世ヨーロッパはまさにイスラムの時代なのだということがわかる。
 大部分がイスラムによるシチリアの侵略と支配に費やされるが、ポエニ戦争の頃に比べてシチリアの重要度が上がっており、この島がまさに地中海の中心だというのが実感を持って理解できた。

紹介

 本巻はなんと言っても、海賊にさらわれた同胞たちを救いたいという使命に萌えた救出修道会と救出騎士団の活躍が見どころ。
 熱い魂に燃え、イスラムに乗り込んで金だけを武器に奴隷を買い戻す彼らの熱意には心動かされるものがある。
 理不尽な暴力に対し、あくまで理性で立ち向かうためには宗教も大事な意義があるのだろうか。
 一方で彼らの活躍と、それに便乗して猛威を増した海賊の人さらい事業の関係性を読むと、現代社会がテロリストとは交渉しない理由も実体を持って理解できる。

書誌情報

著者:塩野七生
タイトル:ローマ亡き後の地中海世界(上)
出版社:新潮社
出版年:2008.12
備考:新潮文庫化時に1,2巻に分巻。

関連作品

ヴェネツィア共和国の立場から同時代の地中海を描いた作品。

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