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【小説】塩野七生「ローマ人の物語」迷走する帝国,最後の努力:古代

ローマ人の物語 (12) 迷走する帝国

紹介

 最悪ではないにしても、なんとか頑張ってたのにいまいちうまく行かないカラカラ。無責任な兵士どもの生け贄に選ばれたマクリヌス。語るべきことなど何もない無能のヘラガバルスを経由してアレクサンデル・セウェルス。
 なんとか重圧に耐えながらもイマイチうまく行かないアレクサンデル・セウェルスがとにかく気の毒。愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶといいますが、動乱のときにはそれだけでは足りずに、殺されてしまう。
 ちょっと気に入らないからってすぐに皇帝を殺すローマ軍団のバカさ加減にそろそろ嫌気が差してきた。

紹介

 帝政ローマという国体の消費期限が切れてしまったのではないかと思う劇的な衰退ぶり。ゲルマンとペルシャという雄国の勃興は、これまでのローマのやり方をあざ笑うようにずたずたに切り裂いていく。
 軍人皇帝たちはそれなりに立て直そうと頑張っているだけに、薬石効を成さないのがもどかしい。
 そして大工の新興宗教が大嫌いになる。

紹介

 3世紀の危機はローマの政体をグズグズに破壊していく。次々現れる軍人皇帝たちが、自分のできることを必死にやることで崩壊を食い止めようとするする姿が悲壮である。
 アウレリアヌスの悲劇といったら、このままこの国は滅んでしまったほうが良いのかもしれないと思わせるに十分である。
 それでもローマ人は諦めることなく、なおも帝国は続いていくことになるのだが。

書誌情報

著者:塩野七生
タイトル:ローマ人の物語 (12) 迷走する帝国
出版社:新潮社
出版年:2003.12
備考:初版では第12巻。新潮文庫化時に32,33,34巻に分巻。

ローマ人の物語 (13) 最後の努力

紹介

 ディオクレティアヌスという偉大な正帝が現れて、青息吐息のローマ帝国もなんとかかんとか息を吹き返す。殺されないように皇帝権威を天上にまで高め、皇帝を東西に二人、ついで四人に増やし、中央集権の絶対帝政に改めていった結果、ローマは帝国の首都ですらなくなった。
 換骨奪胎の末に残った帝国は、それでもローマと呼べるのだろうか。
 なにはともあれ帝国は持ち直した

紹介

 元々がディオクレティアヌスの管理能力に頼り切っていた四頭政治は、やはりというか残念というか、彼の引退とともに崩壊し、四人の皇帝の争いはグズグズを極める。
 そのなかから勝ち上がったのが、キリスト教の英雄・亜使徒聖大帝コンスタンティンローマ皇帝でありながら、限りなくオリエンタルな権力構築を目指す彼の手によって、ローマ的なものはいよいよすべてぶっ壊されることとなる。
 帝国の寿命もあと少し。
 民衆と一線を画する姿勢、戦争のための重税、権力争いによる内戦と粛清、その場しのぎの縁戚関係、ローマにも今までなかったとは言わないが、ディオクレティアヌスコンスタンティヌスのやり方はなんとなくそれまでとは違う、極めてオリエンタルな空気を感じるのはなぜだろうか。

紹介

 塩野氏自身がコンスタンティヌス大帝に含むところがあるので、彼の政治手腕を褒めながらも筆致はどこか元気がない。
 彼女の愛したローマを粉々に打ち砕き、凡百のオリエンタルな帝国に作り変えた張本人なのだから無理もないが、なぜローマンスピリッツはここまで落ちぶれてしまったのだろう。
 キリスト教の台頭は結果であって、大工の息子の宗教が根本的な原因ではないはずだ。

書誌情報

著者:塩野七生
タイトル:ローマ人の物語 (13) 最後の努力
出版社:新潮社
出版年:2004.12
備考:初版では第12巻。新潮文庫化時に35,36,37巻に分巻。

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