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【小説】塩野七生「ローマ人の物語」パクス・ロマーナ,悪名高き皇帝たち:古代

ローマ人の物語 (6) パクス・ロマーナ

紹介

 狡猾なる秀才・アウグストゥスは、慎重に慎重を期して皇帝という地位を作り上げた。
 共和制を愛した元老院議員たちは諸手を上げ彼の“共和的な政治”に賛意を示し、あんなにも拒否反応を示した「ただ一人の権力者」を許してしまった。
 皇帝の手の元、ローマによる平和がもたらされる。

紹介

 初代皇帝アウグストゥスによる見事な地盤固めの一冊。
 ただ、頑なに自身の胤にこだわったところに彼の限界が見える。
 ローマの平和と引き換えに皇帝と、皇帝の家族の幸福はほころびはじめる。
 共和政から帝政へのみごとな変革を成し遂げたアウグストゥスだが、血族からの後継者選定という君主政の致命的な欠点をすでに露呈しているのは興味深い。
 結果的にローマ皇帝は親子間での継承をあまりせずに存続していくのだけれど、それはガイウスとルキウスが早々に死んでくれたからだと思うと皮肉。

紹介

 ローマに住まう万人からの尊敬を受け、アグリッパやティベリウスをはじめとする素晴らしい隣人を得て、国を愛し国民を愛し帝政ローマの礎を作り上げた皇帝に穏やかな最期が訪れる。
 彼の得た幸福と平和を思ってみれば、家庭での不幸や、その人生唯一の失敗や、血縁に固執したことも何ほどではないだろう。

書誌情報

著者:塩野七生
タイトル:ローマ人の物語 (6) パクス・ロマーナ
出版社:新潮社
出版年:1997.7
備考:初版では第6巻。新潮文庫化時に14,15,16巻に分巻。

ローマ人の物語 (7) 悪名高き皇帝たち

紹介

 悩める二代皇帝・ティベリウスの治世。
 歴戦の軍人であり、クソ真面目が服を着て歩いているような彼には、わがままな身内や、無責任な元老院議員たちが我慢ならなかったのだろう。
 すべてが嫌になって国を捨ててもなお、国を統治する重圧を捨てられなかった彼を責任感があると評すべきか、悲しい社畜人間と評価すべきか。
 誇り高きクラウディウス氏族の見本のような男である。ヒステリーを起こすアグリッピナにギリシャ語で答えた一言に彼が一人で抱いていたストレスの重みを感じる。

紹介

 皇帝の地位という重圧に押し潰されたティベリウスは、カプリ島へ隠遁。驚くべき責任感とバランス感覚をもって帝国の統治は全うしたが、ただ自分の責任を果たすだけでは皇帝として満点とはいえない。
 皇帝一族や元老院を破滅させ、若きカリグラに全権を与えてしまった罪はティベリウスにある。
 カリグラは愚かな皇帝だが、カリグラだけが悪いわけではない。ティベリウスは自分の死後の帝国には興味がなかったのかもしれない。
 せめてゲルマニクスが生きていてくれたらなあ

紹介

 帝国を統治する能力は充分あった歴史家皇帝・クラウディウス
 彼に足りないのは、威信という皇帝に最も必要な資質だった。誠実で堅実に帝国を治めたのに、人にナメられる気質でいちいちケチがつく。
 ゲルマニクスさえ生きていてくれたなら、彼も偉大なる兄の補佐として幸せになれたのではないかと思うと、狂った帝国の歯車が悲しい。
 ティベリウスもカリグラもクラウディウスも、彼の死で人生が狂った。

紹介

 天下に名高き暴君・ネロの治世。
 だがその実態を見る限り、最高権力者という環境と精神的な幼さが彼の乱行を呼んだように見え、暴政というほどの失政はしてないように見える。
 こういう政治的なセンスはあるが、権力を与えてはいけないタイプの人間は古今わりといる。オリエントでは日常茶飯事。

書誌情報

著者:塩野七生
タイトル:ローマ人の物語 (7) 悪名高き皇帝たち
出版社:新潮社
出版年:1998.9
備考:初版では第7巻。新潮文庫化時に17,18,19,20巻に分巻。


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