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【麒麟がくる人物紹介】水野氏:徳川家康の母の実家。江戸幕府が成立すると老中を多数輩出する。

水野氏とは

 現在放送中のNHK大河ドラマ麒麟がくる』。
 今川義元(演・片岡愛之助)と織田信長(演・染谷将太)は知多半島の領有権を巡って激しく戦いを繰り広げていますが、その知多半島三河(現・愛知県東部)の西部を治めていたのが水野信元(演・横田栄司)です。彼は徳川家康(演・風間俊介)の母・於大の方(演・松本若菜)の兄でもあります。
 ドラマや小説で取り上げられることは少なく、コーエーのゲーム『信長の野望』でもつい最近までその存在は無視されていたためあまり知られてはいませんが、織田氏松平氏に勝るとも劣らない尾張三河の実力者が水野氏でした。
 今回は、その水野氏についてご紹介します。

水野氏略系図

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水野氏略系図

水野氏の経歴

 水野氏は清和源氏初代・源経基の子・満政の子孫とされます。
 水野の家名は先祖が尾張国春日井郡水野郷(現・愛知県瀬戸市)に住まったことから名乗ったと考えられています。
 戦国時代の当主・水野忠政(1493 - 1543)は知多半島から三河国西部にかけて勢力を持ち、尾張国知多郡(現・愛知県知多郡東浦町)の緒川城を居城としました。忠政は駿河(現・静岡県東部)及び遠江(現・静岡県西部)守護の今川氏に従い、妹を松平信忠徳川家康の曽祖父)、娘の於大の方(1528 - 1602)を松平広忠徳川家康の父)に嫁がせて、三河松平氏との関係を強化しました。
 忠政が亡くなり子の水野信元(生年不詳 – 1576)が跡を継ぐと、信元は自立を図り、今川氏と争っていた尾張織田信秀と手を結びます。この際、妹の於大の方松平家から離縁されて水野家に戻されています。
 永禄3年(1560年)の桶狭間の戦いの際は水野領の知多半島が主戦場となりました。水野家でも刈谷城(現・愛知県刈谷市)主を務めていた信元の弟の水野忠近(1525 - 1560)が戦死し、一時的に刈谷城を今川方の岡部元信に奪われる被害を出しています。
 今川義元の戦死後、今川氏から離反した松平元康(のちの徳川家康)は尾張織田信長と同盟を結びます。この同盟では家康の伯父であり、信長の同盟者でもある水野信元が仲介役として動いていたとされます。
 しかし、織田家の本領の尾張と徳川家の本領の三河の中間地点という微妙な場所に、広大な領地を持つ水野氏の立場はだんだん微妙なものとなっていきました。天正3年(1576年)、織田家重臣佐久間信盛は水野氏が甲斐(現・山梨県)の武田勝頼と内通していると訴え、信長の意を受けた家康の手によって信元は殺害されてしまいます。こうして水野氏は一時的に滅亡しました。
 しかし天正8年(1580年)に旧水野領を領有していた佐久間信盛が信長の勘気に触れて追放されると、信長に仕えていた水野忠守(1525 - 1600)には緒川城が、信元と仲違いして家康に仕えていた水野忠重(1541 - 1600)には刈谷城が与えられ、水野氏は再興を許されました。
 信長の死後、忠守と忠重は織田信雄、次いで豊臣秀吉に大名として仕えましたが、秀吉が死去すると甥の徳川家康に属しました。
 その子孫は徳川氏の親戚としてよく仕えて重用され、江戸時代を通して多くの幕閣を輩出しました。天保の改革で知られる老中・水野忠邦(1794 - 1851)は忠守の子孫です。

その他の水野氏

 豊臣秀吉の継父の竹阿弥(生没年不詳)は水野氏の分家の出身という説があります。
 将軍・徳川秀忠に仕え、大老となって大権を振るった土井利勝(1573 - 1644)は徳川家康落胤という俗説もありますが、一般には水野信元の子で土井利昌の養子となったとされています。

水野氏の登場する作品

NHK大河ドラマ麒麟がくる

ジャンル:歴史ドラマ
主人公:明智光秀
登場人物:水野信元(生年不詳 – 1576)
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第20回「家康への文」より(演・横田栄司
於大の方(1528 - 1602)
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第9回「信長の失敗」より(演・松本若菜
時代背景:室町時代 - 安土桃山時代(戦国時代)
 令和2年度(2020年)の大河ドラマ明智光秀(演・長谷川博己)の若き日の物語。
 物語当初より登場していた謎の忍・菊丸(演・岡村隆史)の雇い主として水野信元と於大の方の兄妹が登場する。第9回「信長の失敗」では、於大の方の息子である竹千代(のちの徳川家康)の身を陰からサポートするべく菊丸を遣わせていたことが判明した。
 第20回「家康への文」では信長・帰蝶(演・川口春奈)夫妻と面会して、松平元康を今川方から寝返らせる代わりに、三河尾張の不戦を信長に誓わせた。

澤田ふじ子「修羅の器」

修羅の器 (光文社時代小説文庫)

修羅の器 (光文社時代小説文庫)

ジャンル:歴史小説
主人公:水野監物(守隆)(生年不詳 - 1598)
時代背景:室町時代(戦国時代) - 安土桃山時代
 織田信長に仕える常滑水野氏(現・愛知県常滑市)の当主・水野監物は、領内で作られる常滑焼の産出によって強盛とまではいえないまでも、文化的な生活を送っていた。おりしも時代は茶の湯が勃興した時期でもあり、常滑焼も監物自身も茶人衆から高い評価を受けていた。
 しかしある時、領内の瀬戸焼美濃焼の権威向上を図る信長は、それ以外の焼き物の廃絶を急遽領内に命じる。もちろん常滑焼も例外ではなかった。監物にはひとつの相談もなく、しかも監物が長篠の戦いへの従軍中に領内に目付が押し入って窯人たちを血祭りにあげるという暴挙であった。茶人たちも信長をはばかり常滑焼を茶の湯に使うことは渋るようになった。さらに、緒川の本家・水野信元までもが信長に疑われ、殺されてしまったのである。
 以来監物は腹内に信長に対する怒りを収めたまま彼に仕えることとなる。

大塚卓嗣「天を裂く: 水野勝成放浪記」

天を裂く

天を裂く

ジャンル:歴史小説
主人公:水野勝成( 1564 - 1651)
登場人物:水野忠重(1541 - 1600)
時代背景:安土桃山時代(戦国時代) - 江戸時代
 水野藤十郎勝成は名族水野氏の嫡男でありながら、暴勇の気があり、婆娑羅と称して戦場を単騎駆ける暴れん坊であった。父の忠重は頭を抱えていたが、父の同輩の鳥居元忠井伊直政は勝成の性質を好ましく思っていた。
 しかしあるとき、勝成は些細なことから父と大げんかを演じ、それを止めに入った近臣を殴り殺してしまう。やっちまったと思ったが、なおも意地を張る勝成を父の忠重は勘当。奉公構(ヤクザで言う破門)を出されてしまい、徳川家とは縁のない仙石秀久佐々成政のもとを傭兵として流浪する羽目に陥るのであった。

平岩弓枝「妖怪」

妖怪 (文春文庫)

妖怪 (文春文庫)

ジャンル:歴史小説
主人公:鳥居耀蔵
登場人物:水野忠邦(1794 - 1851)
時代背景:江戸時代
 南町奉行鳥居耀蔵は甲斐守の官職にあり、耀蔵と甲斐をもじって妖怪と呼ばれていた。彼を抜擢したのは老中・水野忠邦だったが、彼の改革が失敗したときその改革を中断させたのは耀蔵だった。
 為政者としての水野忠邦と、役人としての鳥居耀蔵が比較される。
 

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