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【麒麟がくる人物紹介】織田信勝(信行):織田信長の同母弟。母に愛され、父・信秀の死後に斎藤義龍と結んで信長に対抗する。

織田信勝とは

 現在放送中のNHK大河ドラマ麒麟がくる』。
 先週放送の第18回「越前へ」で、織田信長(演・染谷将太)は弟の織田信勝(演・木村了)を自らの手で暗殺しました。第15回「道三、わが父に非ず」では、斎藤高政(義龍)(演・伊藤英明)が同じように仮病を使って呼び出した異母弟の孫四郎(演・長谷川純)と喜平次(演・犬飼直紀)を暗殺しましたが、図らずしもその時の構図の再来となりました。
 しかし、会いもしないで黙ったまま異母弟を家臣に殺させる高政、直接会った上で積年の恨みつらみをぶちかまし、涙を流して同母弟を自分の手で殺す信長。同じ手段を使っていても、むしろ同じ手段であるだけに、両者の人間性の差が浮き彫りになった演出となりました。
 今作の信長は信勝に対面して殺そうとしていたことを告白しており、その上で殺すのをやめたと言い、兄弟で長年憎しみあっていた感情について腹を割って語り合います。
 しかし、信勝は信長が重病だと聞き、止めを刺すための毒を白山の霊水と称して持参していました。そしてその毒を自ら飲むよう信長に強要され命を落とします。
 弟を殺そうと呼び出した信長は自分の殺意を一度は収めましたが、弟が自分に向けた殺意については決して許しませんでした。もし本当に白山の霊水を差し出していたら信勝は助かったのだろうかと考えると、憎みあう兄弟の運命の皮肉を感じさせます。
 遺児の津田信澄は幼かったために許されて柴田勝家(演・安藤政信)のもとで養育され、のちに本作の主人公・明智光秀(演・長谷川博己)の娘婿になります。
 今回は、その織田信勝についてご紹介します。

織田信勝の経歴

 織田信勝(生年不詳 - 1558)は尾張(現・愛知県西部)守護代・織田大和守家の分家・織田弾正忠家の当主である織田信秀と、その正室の土田御前との間に生まれた次男です。同母兄には織田信長、同母弟妹には織田信包お市の方がいたとされます。かつては「織田信行」と呼ばれていましたが、「信行」の名は一次資料では発見できないため、現在では名乗ったことが確実とされる「織田信勝」として知られています。若いころ「うつけ」と呼ばれて奇行が目立った兄の信長に比べ、品行方正な性格から母の土田御前に愛され、林秀貞柴田勝家らの重臣も信勝に従いました。
 父・信秀と同じく長滝白山神社(現・岐阜県郡上市)を厚く信仰しており、『麒麟がくる』で白山の霊水と偽って毒を持参したのもその影響と思われます。信仰の対象を詐略につかったため、罰が当たって呪詛返しに遭ったのかもしれません。
 織田信秀が死に嫡男の信長が跡を継ぐと、信秀の居城だった末盛城に入ります。二人の叔父の織田信光が対立していた織田大和守家の織田彦五郎信友を討ち、その信光も家臣の手によって暗殺されると、信行は織田弾正忠家の当主を僭称して信長に対して対決姿勢を打ち出します。
 さらに舅として信長の後ろ盾であった斎藤道三が息子の義龍に殺されると、それを好機と見た信勝は弘治2年(1556年)6月に林秀貞柴田勝家を引き連れて反旗を翻しました。しかし林と柴田は自ら軍を率いてきた信長と稲生で決戦に及んで敗れ、末盛城に籠城しますが母の土田御前のとりなしで降伏します。
 信長にも兄弟の情はあったのか一度の反乱は許されましたが、その後も美濃の斎藤義龍や織田伊勢守家の織田信安と結び信長に反乱を起こそうとしました。そのため信勝を見限った家老の柴田勝家が信長に密告し、永禄元年11月2日(1558年12月11日)清州城に呼び出され、その場で家臣の川尻秀隆の手で殺されました。

織田信勝(信行)の登場する作品

天野純希「信長 暁の魔王」

信長 暁の魔王 (集英社文庫)

信長 暁の魔王 (集英社文庫)

ジャンル:歴史小説
主人公:織田信長
時代背景:室町時代(戦国時代)
 織田信長と母の土田御前(本作では久子)の間に、彼の生まれたその瞬間から横たわるおぞましい確執を描いた物語。本作の信長は毒親サバイバーの魔王となったが、領主が毒親サバイバルを繰り広げると領民も周辺も非常に困る。一方で品行方正とされる織田信行の方がむしろまともな人間ではなく、貴公子であるがゆえに人間としてのねじが外れてしまっている。
 母に呪われた信長と、母の道具となった信行が互いに周囲を巻き込みながら殺しあう姿が圧巻。

霧島兵庫「信長を生んだ男」

信長を生んだ男

信長を生んだ男

ジャンル:歴史小説
主人公:織田信行(信勝)
時代背景:室町時代(戦国時代)
 本作の織田信行は信長の持つ天才性を認めている。本当の意味で非情にはなり切れないその人間性も見抜いている。そのためあえて自分が汚れ役に徹して、二人三脚で織田弾正忠家の地盤を盤石なものとしていく。しかし、自分に残された時間が少ないと知ったとき、命を盾にして兄を魔王として覚醒させようとする。

仁木英之「レギオニス 興隆編」

レギオニス 興隆編 (中公文庫)

レギオニス 興隆編 (中公文庫)

ジャンル:歴史小説
主人公:柴田勝家
時代背景:室町時代(戦国時代)
 織田信勝に傅役としてつけられた若き日の柴田勝家が主人公。織田弾正忠家の勢力を飛躍させた「尾張の虎」織田信秀の死後、嫡男の信長と家臣と母土田御前の支持を得た信勝は跡目を巡って暗闘を繰り広げる。織田大和守信友や、信長の家老だったはずの林秀貞も反信長の旗幟を明らかにした。尾張の片田舎の土豪に過ぎなかった勝家もまた、信勝の家老として稲生の戦いに総大将として参加し、信長と刃を交えることになる。

NHK大河ドラマ麒麟がくる

ジャンル:歴史ドラマ
主人公:明智光秀
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第18回「越前へ」より(演・木村了
 令和2年度(2020年)の大河ドラマ明智光秀の若き日の物語。
 第9回「信長の失敗」で登場。三河からの人質の竹千代(演・岩田琉聖)(後の徳川家康)と将棋を打って交流する姿や、母の土田御前(演・檀れい)から愛されている様子が描かれた。
 第18回「越前へ」では2度めの謀反を起こそうと企む信勝の動きに対し、信長は妻の帰蝶(演・川口春奈)に意見を求め、帰蝶は信勝に会って態度を見てから決めれば良いと助言をした。その結果、兄の手で毒殺されることとなる。


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