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【麒麟がくる人物紹介】美濃斎藤氏:土岐氏に代々仕えた美濃守護代家。のちに斎藤道三に乗っ取られる。

美濃斎藤氏とは

 現在放送中のNHK大河ドラマ麒麟がくる』。
 先週放送の第17回「長良川の対決」ではついに本木雅弘演じる斎藤道三(1494 – 1556)と伊藤英明演じる斎藤高政(義龍)(1527 – 1561)の決戦が描かれ、道三が敗死することでその対立に終止符が打たれました。
 主人公である明智光秀(演・長谷川博己)が仕える美濃斎藤氏は、美濃国(現・岐阜県南部)守護土岐氏に代々仕えてきた守護代の家柄でした。
 ただし、劇中でも語られている通り道三はその父親の長井新左衛門尉(生没年不詳)と共に、京都の油屋だったのが2代で出世を果たして名門・斎藤氏の名字を継承したもので、元々の守護代家と血の繋がりはありません。
 一方、今後登場すると思われる光秀の家臣である斎藤利三(演者未発表)(1534 - 1582)は美濃守護代斎藤氏の支族の出だと言われています。
 今回は、その美濃守護代の斎藤氏についてご紹介します。

美濃斎藤氏略系図

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美濃斎藤氏略系図

美濃斎藤氏の経歴

 源氏の名門で、国主でもあった斯波氏や土岐氏と違って、斎藤氏は陪臣(将軍の家臣の家臣)の家柄であるため正確な記録が残っていません。なので、以下の記述もいくつかの資料から推測したものとなります。
 斎藤氏は平安時代中頃の鎮守府将軍藤原利仁の子の叙用が斎宮頭(伊勢神宮斎宮を務める未婚の皇女を世話する役職)に任じられたことから、その子孫が斎宮頭の藤原氏、すなわち斎藤を名乗ったことが始まりとされます。
 斎藤氏の一族は加賀(現・石川県西部)や越前(現・福井県東部)で主に勢力を張りました。美濃守護代斎藤氏は越前斎藤氏の分家といわれます。
 元々は遥任国司(自分では任地に赴かず、代理人目代を利用して統治した国司。それに対し実際に任地に赴いて、現地で勢力を伸ばした国司は「受領」といわれる)が美濃に置いた目代だったと思われますが、南北朝時代になると美濃守護の土岐氏の風下に立つようになりました。
 『太平記』において後醍醐天皇鎌倉幕府を倒そうと計画した「正中の変」の際に、謀叛計画の密告を受けた斎藤利行(生没年不詳)は舟木頼春の妻の父とされます。舟木頼春は土岐氏の一門なので、このころすでに土岐氏と斎藤氏が深い関係にあったことが伺えます。ただし、斎藤利行と美濃斎藤氏との血縁関係ははっきりとはわかっていません。
 美濃斎藤氏が歴史の表舞台に登場するのは斎藤祐具(生没年不詳)、宗円(1389 - 1450)、利永(生年不詳 - 1460)の3代のころからです。祐具は若年の守護・土岐持益を補佐することでその発言力を増し、息子の宗円と孫の利永の代に美濃守護代・富島氏を討ち滅ぼして守護代の座を奪い取ります。
 利永の死後はその子の斎藤利藤(生年不詳 - 1498)が守護代を継ぎますが、実権は利永の弟の斎藤妙椿(1411 - 1480)に握られていました。妙椿は応仁の乱の混乱に乗じて美濃の反対勢力を一掃することで、主君の土岐氏や本家の利藤を超える「東西の運不は持是院の進退によるべし」と称されるほどの強大な権勢を誇りました。
 しかし、妙椿が死ぬとその跡を継いだ養子で利藤の弟の斎藤妙純(生年不詳 - 1497)と兄で本家当主の利藤との間で抗争が起こり、さらに守護の土岐氏で起こった相続争いも加わって血で血を洗う合戦に及びます。結果的に利藤は敗れて隠居させられ、勝利した妙純も土一揆に襲われ殺されてしまい、斎藤氏の勢力は衰退します。
 その後も美濃守護代として存続していましたが、長井新左衛門尉とその子の規秀(斎藤道三)(1494 - 1556)が勢力を伸長すると、斎藤の家名と美濃守護代の座を美濃のマムシに奪われてしまいました。

その他の斎藤氏

 『平家物語』や謡曲人形浄瑠璃で有名な斎藤実盛(1111 - 1183)は、美濃斎藤氏と同様に越前斎藤氏の一族です。実盛はかつて源義朝に父を討たれた木曽義仲の命を救った恩人でありながら、平家についたために敵味方に分かれて戦い、義仲の軍勢に討たれる最期を迎えました。かつての恩人を殺してしまったことを知った義仲は人目も憚らず泣いたといわれます。
 長井新左衛門尉とその子の長井規秀(斎藤道三)が名乗った長井氏は斎藤氏の分家の家柄と考えられていますが、記録が混乱しており詳細は不明です。一説には斎藤妙純の子が長井利隆(生没年不詳)を名乗ったのが始まりとされています。
 明智光秀重臣として仕えた明智五宿老のひとりである斎藤利三(1534 - 1582)は斎藤利藤、または妙椿、あるいは利永の子孫とされますが、系図に混乱があって詳細は不明です。また、土佐(現・高知県)の長宗我部元親夫人(生没年不詳)は利三の妹、徳川家光の乳母となった春日局(斎藤福)(1579 - 1643)は利三の娘です。

斎藤氏の登場する作品

河部真道「バンデット」

ジャンル:歴史漫画
主人公:石
登場人物:斎藤利行(生年不詳 - 1326)
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2巻第7話「大塔宮(7)」より
時代背景:鎌倉時代
 鎌倉幕府六波羅探題奉行人であり、土岐頼員(舟木頼春)の妻の父。先述のように娘の密告により後醍醐天皇の謀叛計画を知り、正中の変を未然に阻止することに成功した。

宮本昌孝「将軍の星-義輝異聞」所収「妄執の人」

ジャンル:歴史小説
主人公:足利義材足利義稙
登場人物:斎藤妙椿(1411 - 1480)
時代背景:室町時代
 短編集の中の一作品。 足利義材とその父・足利義視が京を逃れて身を寄せる相手として、「無双の福貴、権威の者」と称された美濃の名将・斎藤妙椿が登場する。尾張(現・愛知県西部)守護代家の織田大和守敏定と織田伊勢守敏広の対立に際し、婿である伊勢守敏広に味方するため出陣した。その陣中には初陣を飾る足利義材も伴っていた。

岩井三四二銀閣建立」

銀閣建立 (講談社文庫)

銀閣建立 (講談社文庫)

ジャンル:歴史小説
主人公:番匠・橘三郎右衛門
登場人物:斎藤妙純(生年不詳 - 1497)
時代背景:室町時代
 主人公の三郎右衛門が入手しようとしている美濃からの材木を差し止めているのが、守護以上の力を持つ実力者の斎藤持是院妙純だと語られる。妙純は幕府に反抗的だった斎藤持是院妙椿の養子であり、東山山荘(銀閣)の施工主・足利義政と対立する弟の足利義視を匿っていることもあり、例え将軍家の役用であっても材木の利用料を払えという主張であった。

NHK大河ドラマ麒麟がくる

ジャンル:歴史ドラマ
主人公:明智光秀
登場人物:斎藤利政(斎藤道三)(1494 - 1556)
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第17回「長良川の対決」より(演・本木雅弘
 斎藤高政(斎藤義龍)(1527 - 1561)
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第17回「長良川の対決」より(演・伊藤英明
 帰蝶(生没年不詳)
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第17回「長良川の対決」より(演・川口春奈
 令和2年度(2020年)の大河ドラマ明智光秀の若き日の物語。
 第1回から第17回まで、主人公の明智光秀が仕える主君として斎藤道三と斎藤高政が描かれ、その父子の相克が物語前半の大きなテーマとなる。
 美濃守護の土岐氏の扱いを巡って道三と高政の意見が対立し、そこに高政の出自や稲葉良通(演・村田雄浩)をはじめとする国衆の利害関係も加わって、二人の争いは高政に対する道三の挙兵にまで至る。光秀と叔父の光安(演・西村まさ彦)は苦悩の末に道三に付くことを選ぶが、道三の敗死後に余勢を駆って攻め寄せてきた高政の軍勢によって明智城は落とされ光安は死亡、明智家は一時滅亡するのであった。

司馬遼太郎「夏草の賦」

夏草の賦(上) (文春文庫)

夏草の賦(上) (文春文庫)

ジャンル:歴史小説
主人公:長曾我部元親、斎藤菜々(元親夫人)(生没年不詳)
登場人物: 斎藤内蔵助(斎藤利三)(1534 - 1582)
時代背景:室町時代(戦国時代)
 斎藤利三の妹、菜々は美濃でも評判の美人だった。ある日、隣家の明智光秀が訪ねてきて、突拍子もない申し出をしてきた。土佐の長曾我部元親が菜々を嫁に取りたいというのである。何が悲しくて四国の地の果てまで嫁にいかなければならないのか。訝る利三だが、菜々は二つ返事で嫁に行くと決めた。

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