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【麒麟がくる人物紹介】斯波氏:室町幕府の名門。織田氏や朝倉氏の上司で、応仁の乱の原因の一つともなった

斯波氏とは

 現在放送中のNHK大河ドラマ麒麟がくる』。
 今週放送の第15回「道三、わが父に非ず」では、若き日の織田信長(演・染谷将太)が清須城(現・愛知県清須市)を奪い取る発端となった事件として、清須城主で尾張(現・愛知県西部)守護代の織田彦五郎(演・梅垣義明)が尾張守護・斯波義統(演・有馬自由)を暗殺した事件が取り上げられていました。
 この事件を発端として、帰蝶は信長の叔父の織田信光(演・木下ほうか)を唆して、織田彦五郎を逆に暗殺させることに成功します。
 結果として、信長は義統の遺児の斯波義銀(演・松田周)を保護するという大義名分と、城主を失った清須城を労することなく手に入れることができました。
 今回は、その尾張守護の斯波氏についてご紹介します。

斯波氏略系図

 

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斯波氏略系図

斯波氏の経歴

 上の家系図を見ておわかりの通り、斯波氏は室町幕府足利将軍家の一門です。
 斯波の名前は家祖となった足利家氏の領地があった陸奥国斯波郡(現・岩手県紫波郡)に由来します。4代目の斯波高経(1305 - 1367)の頃に足利氏から改めて斯波氏を名乗って、その子の5代目斯波義将(1350 - 1410)以降、同じく足利一門の細川氏や畠山氏とともに幕府の管領(将軍の補佐役)を歴任しました。
 斯波氏の本家にあたる斯波武衛家(武衛とは当主が代々任官された左兵衛督の別名)は『麒麟がくる』でも登場する尾張国のほか、全盛期には越前国(現・福井県東部)と遠江国(現・静岡県西部)の守護職世襲していました。
 しかし、9代目の斯波義健(1435 - 1452)が子を残さずに亡くなると、分家から養子に入った斯波義敏(1435 - 1508)と、足利一門の渋川氏から養子に入った斯波義廉(1445 - 没年不詳)が後継者を巡って争いを起こします。この後継者争いが、足利義政の後継者を巡る争いや畠山氏の後継者を巡る争いと絡み合って、応仁の乱を引き起こす原因となってしまいます。
 応仁の乱の際には、越前守護代を務めていた朝倉孝景斯波義廉に従い、西軍の主力として勇戦しました。しかし越前の正式な守護職に任ずるという餌に釣られた孝景は東軍に寝返ってしまい、斯波氏は越前を失ってしまいます。さらに、遠江国も隣国駿河国(現・静岡県東部)の守護だった今川氏に奪われてしまい、尾張一国だけの守護に落ちぶれてしまうのでした。
 その後の斯波家は、尾張国に在国して、守護代織田氏の庇護のもとに細々と生きていくこととなります。しかし、14代目の斯波義統(1513 - 1554)の代になると、守護代織田信友(織田彦五郎)と不仲になって、義統は信友の家臣の坂井大膳に切腹させられてしまいます。この事件により、織田信長は義統の息子の15代目斯波義銀(1540 - 1600)を擁立する大義名分を得るのみならず、織田信友を討つ口実ができたのでした。

その他の斯波氏

 4代目・斯波高経の弟の斯波家兼(1308 - 1356)の系統は、幕府の命によって東北地方に下向してそのまま土着しました。家兼の子孫は奥州探題を代々世襲して、大崎氏を名乗り戦国時代まで至りました。
 家兼の次男の斯波兼頼(1315 - 1379)の子孫は羽州探題を代々世襲して、最上氏を名乗って戦国時代に至りました。伊達政宗の伯父として有名な最上義光(1546 - 1614)はその子孫です。
 また、上記の『破軍の星』に登場した斯波家長(1321 - 1338)の子孫を名乗る斯波一族が高水寺城(現・岩手県紫波郡紫波町)を中心に勢力を張り、戦国時代まで生き残って高水寺斯波家と呼ばれました。

斯波家の登場する作品

北方謙三「破軍の星」:南北朝時代

破軍の星 (集英社文庫)

破軍の星 (集英社文庫)

ジャンル:歴史小説
主人公:北畠顕家
登場人物:斯波家長(1321 - 1338)
時代背景:南北朝時代
 南北朝時代南朝後醍醐天皇に仕えた公家の北畠顕家を主人公にした小説。若くして陸奥(現・東北地方東部)の鎮守府大将軍となった顕家は、南朝のために戦い続ける。その前に宿命のライバルとして立ちふさがるのが、足利尊氏に派遣された北朝奥州管領斯波家長。天才的な軍略家である北畠顕家に対して、なんとかその上洛を防ごうと奮闘する家長の姿が描かれる。

平岩弓枝「獅子の座―足利義満伝」:室町時代

獅子の座―足利義満伝 (文春文庫)

獅子の座―足利義満伝 (文春文庫)

ジャンル:歴史小説
主人公:足利義満
登場人物:斯波高経(1305 - 1367)
 斯波義将(1350 - 1410)
時代背景:室町時代
 室町幕府の3代目将軍・足利義満を主人公にした小説。義満の乳母の夫である管領細川頼之の政治上のライバルとして、4代目・斯波高経と5代目・斯波義将の親子が登場する。高経は『破軍の星』の斯波家長の父で、義将は家長の弟。
 足利氏一族の名門を自ら任ずる斯波親子は、佐々木道誉赤松則祐細川頼之と熾烈な権力争いを演じ、管領の座を奪い合う。

ゆうきまさみ「新九郎奔る!」:室町時代

ジャンル:歴史漫画
主人公:伊勢新九郎北条早雲
登場人物:斯波義敏(1435 - 1508)
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1巻第2話「文正の政変その1」より
 斯波義廉(1445 - 没年不詳)
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2巻第7話「戦下の元服」より
時代背景:室町時代
 戦国時代、関東の雄・北条早雲の若き日の姿である伊勢新九郎を主人公にした漫画。1巻から3巻は応仁の乱のころが舞台となる。新九郎の伯父である伊勢貞親の妻が10代目・斯波義敏の妻の妹であり、文正の政変でふたりとも失脚して京を追放される。
 応仁の乱が勃発すると、斯波義敏は東軍の細川勝元に味方し、11代目・斯波義廉は西軍の山名宗全に味方して、斯波家の家督を巡って激しく争った。

NHK大河ドラマ麒麟がくる」:戦国時代

ジャンル:歴史ドラマ
主人公:明智光秀
登場人物:斯波義統(1513 - 1554)
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第15回「道三、わが父に非ず」より(演・有馬自由)
 斯波義銀(1540 - 1600)
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第15回「道三、わが父に非ず」より(演・松田周)
時代背景:室町時代 - 安土桃山時代(戦国時代)
 令和2年度(2020年)の大河ドラマ明智光秀の若き日の物語。
 第十五回「道三、わが父に非ず」では、清須城主の織田彦五郎が14代目の斯波義統を暗殺し、その息子の15代目・斯波義銀織田信長を頼って落ち延びる顛末が描かれている。


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