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【小説】堺屋太一「秀吉―夢を超えた男 4」:安土桃山時代

「まことに、秀次様らがそのようにお成り下されば幸せにございまするが……」
 三成は慇懃な中にもいささか刺を含んだ言い方をした。それが秀吉には、守りの姿勢に入った自分に対する批判のようにも聞こえた。
 信長から教えられた夢は見事に実現したが、その次に何をするかとなれば、思い定まらない。秀吉は、急にこれまでにない寂寥を感じて、心のなかで呟いた。
「俺の前に夢がない。信長様に見せられた夢を、追い越してしまったんだわ」

データ

ジャンル:歴史小説
主人公:豊臣秀吉
主な歴史人物:豊臣秀長豊臣秀次石田三成、大谷吉隆(大谷吉継)、増田長盛千利休徳川家康石川五右衛門
時代背景:安土桃山時代(戦国時代)
 天正11年4月19日(1583年6月9日) - 慶長3年8月18日(1598年9月18日)

紹介

 NHK大河ドラマ『秀吉』の原作。
 柴田勝家を討ち、徳川家康を従え、秀吉は関白に命じられ豊臣秀吉と名を改めた。そして四国の長宗我部元親、九州の島津義久、関東の北条氏政、東北の諸侯を討ち平らげ、天下は豊臣の下に惣無事となった。
 豊臣政権は史上初めて日本を統一した。このときまさに豊臣の権勢は信長を超え、絶頂にあった。
 すべてを手に入れた秀吉の前には、幾万の侍を抱えながら、統一した天下を保つという新しい難題が横たわっている。そんな彼が目を向けたのは海の向こうの朝鮮半島だった。

 いままで日本を武力で統一した勢力は一つとしてなく、豊臣政権が空前の存在であった。それは同時に、天下取りというゼロサムゲームが終焉を迎え未知の時代が幕を開けたことを意味する。
 これまで勢力拡大という高度経済成長を享受し、支出を拡大してきた大名たちは新しい時代の到来に困惑する。その混乱を抑えるためにも、秀吉は外部に敵を求め朝鮮半島に出兵したが、あまりにも短絡的かつ向こう見ずな計画に豊臣政権は破綻の兆しを見せ始める。
 秀吉自身も、すべての家族を失い、古い家臣を殺し、往年の木下藤吉郎を知る者はこの世からほとんどいなくなってしまった。そして最後にはかつての親友がんまくこと石川五右衛門さえも大釜で茹で殺し、そのすぐあとに彼自身も生涯を終える。
 結局秀吉の栄華は、秀吉ひとりだけのものとして終わったのだった。

時代設定

天正11年4月19日の(1583年6月9日)賤ヶ岳の戦い(現・滋賀県長浜市)から慶長3年8月18日(1598年9月18日)の秀吉の死去まで。

書誌情報

著者:堺屋太一
タイトル:秀吉 : 夢を超えた男 4
出版社:日本放送出版協会
出版年:1995.12 - 1996.10
備考:初版は上中下三巻。文春文庫化時に4巻に分巻。

関連作品

本作が原作のNHK大河ドラマ作品。豊臣秀吉役は竹中直人。(1996年)

本作と同作者の秀吉の弟・豊臣秀長が主役の小説。
全一冊 豊臣秀長 ある補佐役の生涯 (PHP文庫)

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