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【小説】堺屋太一「秀吉―夢を超えた男 3」:安土桃山時代

秀吉―夢を超えた男〈3〉 (文春文庫)

秀吉―夢を超えた男〈3〉 (文春文庫)

 秀吉の思考は、目的から手段へと逆に進んだ。だが、それでは悲しみを消し闘志を湧かすことにはならない。考えが具体化するほど、偉大であった織田信長が呆気なく死んだ事実に比べれば、小さな戯れ言になってしまう。だが、その中に一つ、本当のことが浮かんできた。
「夢を変えよう」
 という心の呻きである。
「信長様の下で出世するという三十年間抱き続けてきた夢が、今は消えたのじゃ。信長様がおられぬ世の中を俺が創る。俺は、信長様の夢を実現せんといかんのじゃわ」
 秀吉は、天に向かって、いや自分自身に対して、声にならぬ声でそう叫んでいた……。

データ

ジャンル:歴史小説
主人公:羽柴秀吉豊臣秀吉
主な歴史人物:織田信長羽柴秀長豊臣秀長)、竹中半兵衛石田三成黒田官兵衛織田信孝柴田勝家
時代背景:安土桃山時代(戦国時代)
 天正2年1月1日(1574年1月23日) - 天正11年4月21日(1583年6月11日)

紹介

 NHK大河ドラマ『秀吉』の原作。
 激闘の末に信長包囲網は打破され、羽柴秀吉浅井長政の旧領を与えられて小谷城(現・滋賀県長浜市)に入る。草履取りから身を起こしたサルはついに大名にまで上り詰めた。信長の天下取りは更に加速し、秀吉はその尖兵として存分に力を奮う。
 しかし、荒木村重の謀叛が信長の心に暗い影を落とした。疑心暗鬼に駆られ締め付けを強めていく信長と、将たちの間には隙間風が吹き始める。その将たちの中から耐えきれなくなった明智光秀は、本能寺に泊まる織田信長を殺した。織田信長という絶対者と、織田信忠という当主を一夜にして失ったことで混乱に陥る織田軍。その中で、羽柴秀吉だけがいち早く行動を開始し、猛烈な勢いで備中高松城(現・岡山県岡山市)から取って返して光秀を討ち果たした。
 この勝利は単に織田信長の敵を討っただけではなく、次の時代の主導者を占う重要な一戦であった。信長の敵討ちと織田家の主導者の座の奪い合いを同時に制した秀吉は、つづく清州会議において策をめぐらし、築いた優位を圧倒的なものとしていく。

 秀吉とがんまく(石川五右衛門)は再会するが、かつてがんまくから多くのことを学んだ秀吉が、理想に燃えて現実を見ることができなくなった五右衛門を見る視線が悲しい。今でいうなら上場企業の役員に上り詰めた秀吉と、オッサンになっても学生運動を続けている五右衛門との間はもはや会話が成り立たないほどに隔たってしまっていた。
 羽柴秀吉にとって、織田家という企業での出世こそが夢であり、人生の全てであり、信長という神に喜ばれることが存在意義であった。
 そして今、神が死んだ。男は夢を超える。

時代設定

天正2年1月1日(1574年1月23日)、織田信長が浅井朝倉の黄金ドクロを披露してから天正11年4月21日(1583年6月11日)に前田利家賤ヶ岳の戦いから離脱するまで。

書誌情報

著者:堺屋太一
タイトル:秀吉 : 夢を超えた男 3
出版社:日本放送出版協会
出版年:1995.12 - 1996.10
備考:初版は上中下三巻。文春文庫化時に4巻に分巻。

関連作品

本作が原作のNHK大河ドラマ作品。豊臣秀吉役は竹中直人。(1996年)

同じく堺屋太一が書いた秀吉の弟・豊臣秀長が主役の小説。
全一冊 豊臣秀長 ある補佐役の生涯 (PHP文庫)

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