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【小説】永井路子「北条政子」:鎌倉時代

北条政子

北条政子

 ――都びとだったのだわ、このひとは……
 十四歳まで都で育った頼朝なのだと、ふいに政子は隔絶感におそわれた。
 都の神経では、二人の女を同時に愛することはあたりまえなのかもしれない。が、政子には、どうにもそれが許せなかった。皮膚がうけつけない、といったらいいのだろうか。わからずやといわれてもいい、いやなものはいやなのだ。
「さ、きめてくださいな。私か、亀どのか。どちらをお選びになります?」

データ

ジャンル:歴史小説
主人公:北条政子
主な歴史人物:源頼朝北条時政北条宗時北条義時源頼家源実朝公暁
時代背景:平安時代 - 鎌倉時代
 治承元年(1177年) - 建保7年1月27日(1219年2月13日)

紹介

 NHK大河ドラマ・『草燃える』の原作。
 鎌倉幕府初代将軍・源頼朝正室であり、尼将軍の異名で知られる北条政子。伊豆の豪族・北条時政の娘として生まれた彼女が夫の頼朝と出会ってからの燃えるような恋。鎌倉殿の正室となり、夫の天下取りを支え、源氏の兄弟たちを殺していくのを見守る姿。そして息子の3代将軍・源実朝を、孫の公暁の手による暗殺によって失うまでを描いた作品。

 炎環と対になる一冊。普通の田舎娘だった政子が、流刑人だった源頼朝と出会ってしまったことから始まる波乱万丈の人生を、あくまで彼女の視点から描いている。とはいえ、一般的にイメージされるような悪女・烈女の尼将軍・北条政子とは異なり、本作の政子にはあくまでも伊豆の小豪族の小娘という自意識が残り続けている。そのため、彼女がもう少しだけ深く考えていたなら、彼女がもう少しだけ我慢をしていたなら、その人生も少しは変わったのかもしれないと思わせる場面が幾度も出てくる。しかし、過ぎたことを言っても仕方がなく、政子の感情をあざ笑うかのように時は流れていき、その中で彼女はたゆたうことしかできない。
 本作は最愛の息子、頼家と実朝が殺され、すべてを失った彼女が尼将軍・北条政子として覚醒するシーンで終わる。そのため承久の乱での大演説も描かれることはないが、これもまた田舎娘の北条政子を描く作品のスタンスを貫いた結果だろう。

時代設定

頼朝と政子の婚姻は治承元年(1177年)頃。源実朝の暗殺は建保7年1月27日(1219年2月13日)。

書誌情報

著者:永井路子
タイトル:北条政子
出版社:講談社
出版年:1969
備考:

関連作品

本作品が原作の一つとなっているNHK大河ドラマ北条政子役は岩下志麻源頼朝役は石坂浩二。(1979年)

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本作と同作者による同時代を扱った作品。
北条義時三浦義村ら本作の人物も登場する。
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