あの作品が何時代の話かわかるブログ

歴史系の創作物を集めて、年代順に紹介するブログ。歴史系の小説、漫画、ゲーム、映画などなどなんでも

【小説】井上靖「風林火山」:戦国時代

風林火山

風林火山

 勘助は、自分を召し抱えてくれた若い武将が好きだった。晴信は彼がこの世で好感を持った唯一の人物であった。勘助は地上の人物の誰もが嫌いだったが、晴信だけは好きだった。晴信のためには生命も惜しくない気持だった。そんな魅力がこの若い武将のどこから出て来るか判らなかったが、勘助は晴信にだけは全く違った気持で向った。

データ

ジャンル:歴史小説
主人公:山本勘助
主な歴史人物:武田信玄由布姫(諏訪御料人)、武田勝頼板垣信方高坂昌信春日虎綱
時代背景:室町時代(戦国時代)
 天文12年(1543年) - 永禄4年9月10日(1561年10月18日)

紹介

 50を超えた初老の童貞男・山本勘助が、武田信玄という男と由布姫(諏訪御料人)という女の二人に恋してしまい、彼らの夢と希望を支えるために老骨に鞭打って戦い続ける純愛ストーリー。
 今川家で飼い殺しとなっていた山本勘助は、新天地を求めて甲斐の武田家に仕える。新しく主君となった武田晴信(信玄)は度量の大きい人物で、醜い容姿の勘助を見ても怯むことなく、その知略を認めて接してくれた。勘助はその期待に答え、武田家による諏訪(現・長野県諏訪地域)の切り取りに大いに力を発揮していく。その折に、敵の諏訪頼重の娘であった由布姫に出会った。勘助は諏訪の安定のため、由布姫と信玄の間に子が生まれないかと願った。

 容姿に恵まれず、この世のすべてが嫌いだなどと遅れてきた中二病のようなことを言っていた勘助だが、生涯の主君となった武田信玄に惚れ込み、攻め込んだ先の諏訪で、凛と咲く一輪の花のような由布姫にも惚れてしまう。そして生まれた二人の子である武田勝頼に入れ込むことによって、世の中を憎む山本勘助は影を潜め、俗世間にまみれていく。
 さらには上司であった板垣信方を好きになり、油川夫人のことも好きになり、かわいい後輩の高坂弾正も好きになり、どんどんと毒気の抜けた好々爺に変化していく勘助の姿が、滑稽でもあり、微笑ましくて安心するところでもある。愛する者ができるということは、人を強くもするし弱くもする。そして、その愛する者を失ったとき、思い入れが深ければ深いほど重い枷となって人を縛る。
 映画化1回、テレビドラマ化は5回を誇り、舞台化などもされているが、原作は山本勘助武田信玄、そして由布姫の三人の関係性にのみスポットライトを当て、余計な描写をそぎ落としたストイックな作品となっている。

時代設定

山本勘助の武田家仕官が天文12年(1543年)。第4次川中島合戦(現・長野県長野市)が永禄4年9月10日(1561年10月18日)。

書誌情報

著者:井上靖
タイトル:風林火山
出版社:新潮社
出版年:1955
備考:

関連記事

本作と同じく第4次川中島合戦を、上杉謙信の視点から描いた作品。
rekisyo.hateblo.jp


年表はこちら

rekisyo.hateblo.jp