足利将軍家
野望の憑依者(よりまし) (徳間文庫)作者:伊東潤発売日: 2017/07/07メディア: Kindle版 「それがしは民のため、この世を少しでもよきものにすべく起っただけにございます」 そう言い残すと、軽く一礼し、正成は去っていった。 ──何という男だ。 もしそれが…
獅子の座―足利義満伝 (文春文庫)作者:平岩 弓枝発売日: 2003/10/11メディア: 文庫 自分にとっての女は、玉子一人なのだと義満は気がついていた。 玉子の持つ清冽さに自分は心惹かれている。 幼い日から、自分に注がれていた玉子の情愛には、いつも捨て身で、…
秀吉―夢を超えた男〈2〉 (文春文庫)作者:堺屋 太一メディア: 文庫 「これは……、お二人のお考えが違うぞ」 秀吉はそれに気づいて居並ぶ人々の顔を見たが、どの顔にも特段の変化はない。ただ正面高座の足利義昭だけが、緊張した顔を曲げて、救いを求めるような…
応仁秘譚抄 (光文社文庫)作者:岡田 秀文発売日: 2015/02/27メディア: Kindle版 (ああ、そういえば) かつて一度、勝元の誠意をうたがったことがあった。富子の男子が生まれたときだ。あの直観は正しかったと今は思わざるをえない。 (結局、予は) 頼むべか…
バサラ将軍 (文春文庫)作者:安部 龍太郎発売日: 1998/05/08メディア: 文庫 「つまるところ余は、人であることに耐えられぬのかもしれぬな」 ある日義満は西芳寺に世阿弥を呼んで茶を振る舞った。 かつて小姓として寵愛した五歳下のこの青年だけが、心を打ち…
銀閣建立 (講談社文庫)作者:岩井三四二発売日: 2014/02/07メディア: Kindle版 墓場の死者たちを地獄の亡者に見立て、一段高いところにある西指庵を浄土とし、そこに遺骨を埋めることで、自分だけが浄土に行こうとしているのだ。 上様ははじめからそのつもり…
天魔ゆく空作者:真保 裕一発売日: 2011/04/15メディア: 単行本 「それがしにはもう、御屋形様の心根がわかりませぬ……。愉快とは思えぬ顔で、ただ愉快、愉快と口先で仰せられる。何ゆえこの時節に、遊戯されるばかりなのか。引き回される内衆も皆戸惑うばかり…